いよいよ最終回です。
 前号までで女性の健康には、卵巣機能の低下(女性ホルモン)・本人の心と体の問題・環境的な要因(夫源病etc.)が関係すること、病気から身を守るため40歳が過ぎたら、定期的に健診を受けることが大事と述べました。定期健診以外の、女性が身を守る術を考えてみましょう。

【ストレス解消と生活習慣チェック】
 はじめに「心と体の問題」への対処法です。
 何よりもストレス解消することが重要です。そのためには、①物事をポジティブ(肯定的/前向き)に考える、②何でも話せる友だちを持つ、家族との意思疎通をよくする、日記をつける、③スポーツ、趣味、ボランティア活動をすることのほか、④アロマセラピーやヨーガなども効果的です。
 同時に、生活習慣をチェックすること。具体的には、これまで、自分がどのような生活をしてきたかの「自己チェック」をしましょう。そして、適度な運動を始めたり食生活を変えるなど、生活習慣の改善を図りましょう。
 更年期以降を生き生きと過ごすキーワードは、「運動・食事・リラクゼーション」です。

【望ましい人間関係を保とう】
 以上のような「心と体の問題」をより効果的なものとする条件は、望ましい人間関係を保つこと。皆さん、ご自分の周りを見わたしてください。家族は当然としても、医師、看護師、保健師、薬剤師、栄養士、運動療法士、カウンセラー…。
このメンバー、どこかで見たこと、聞いたことがありますね。そう、いつも一緒に活動している医療生協の職員です。更年期以降を支えてくれる、すべての人がそろっているではありませんか。女性の健康増進の場でも、組合員さんを含めた医療生協人で、できないことはなさそうですね!

【女性外来チーム医療で支えます】
 女性外来では、精神的症状や不定愁訴を主訴とする診断の難しい患者さんが多く、医師としては、まず傾聴と説明が有効な手立てです。必ずしも1人の医師の守備範囲では解決できないため、チーム医療が欠かせません。ゆっくりと診察時間をとって、同じ女性として患者さんに共感し、時には自分の経験や他の患者さんから得た知識を話すこともあります。
 良き相談相手と認められれば、型通りの診察では話せないことも打ち明けるようになり、より正確な診断に近づくことができます。女性外来という柔らかな響きをもつ外来なら、相談しやすく、受診を躊躇することもありませんよね。
 5月以来、半年、お付き合いいただきありがとうございました。
                                        (内科医 加藤幸)

 女性外来は毎週火曜日午後2時からで、完全予約制です。予約は左記にお願いいたします。
【川久保病院(女性外来)】
019‐635‐1305

・尿失禁(尿漏れ)
 重いものを持ったり、くしゃみをしたり、腹圧がかかると漏れる「腹圧性尿失禁」や、尿意はあるもののトイレに間に合わない「切迫性失禁」があります。出産経験のある女性は骨盤底筋の緊張感が緩むため腹圧性尿失禁が多いといわれています。

・動脈硬化
 動脈の内側が狭くなり弾力を失ってしまうものです。閉経後、血管の内膜に悪玉コレステロールがついて狭くなってしまうため起こり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。

・骨粗しょう症
 女性ホルモンの一種である「エストロゲン」が減少することで骨の代謝バランスが崩れたり、不適切な生活習慣によって、骨量が減ってしまうことが原因です。背中や腰の慢性的な痛みも生じるようになったり大腿骨頸部を骨折してしまうと、寝たきりの生活になってしまいます。

・認知症
 女性ホルモンは、大脳新皮質に影響を与えていて、女性ホルモンが低下すると、思考、記憶、推理などの脳機能も低下します…女性ホルモンは脳まで守ってくれているのですね。

・女性のがん
 乳がんや子宮体がんの発生には、女性ホルモン「エストロゲン」が深く関わっています。初潮の時期が早い人や閉経時期の遅い人、出産経験のない人などは、エストロゲンの影響を長期間受けているため、発症リスクが高くなります。

定期的に検診を受けよう

 更年期のころになると、それまでの好ましくない生活習慣の蓄積やホルモンのバランスが崩れることによって、さまざまな体調不良が現れてきます。また、体調不良が表面化しなくても、糖尿病やがんなどに罹患しているケースもあります。
 こうした隠れた疾患やその予備軍を発見するため、さまざまな体調不良の原因が何かを発見するためにも、40歳を過ぎたら定期的に検診を受ける習慣を身につけましょう!
(内科医 加藤 幸)

女性外来は毎週火曜日午後2時からで、完全予約制です。予約は左記にお願いいたします。

【川久保病院(女性外来)】
019‐635‐1305


〈現代女性が必要とする健康管理〉
 現代に生きる女性にはさまざまなライフスタイルがあります。「女性であっても子どもは生まない」「生む子どもの数や時期をコントロール」「子育て以外の楽しみや生きがい」
 ライフプランを選択できる時代だからこそ、自分の健康には自分で責任を持ち、生き方も、健康も、自分で積極的に手に入れようとする意識が必要になります。

〈自分の身体を知らない女性たち~外国との比較〉
 日本では多くの女性は女性特有の不調や疾患に関する健康教育を受けていません。ヨーロッパの国々では、初経教育をはじめとした女性の性に関する健康教育が家庭主導で行われ、女性特有の健康トラブルにも対応してくれるホームドクターや、婦人科のかかりつけ医を持ち、定期的に検診を受けています。このような土壌を持てば、女性の身体の仕組みについての十分な知識を持ち、積極的に健康管理をすることが常識として根付くはずです。このようなことが当たり前になるように、まず自分から意識を変えましょう!
                    (内科医 加藤 幸)

「女性外来の連載見てますよ~」「さわやかさんに応援メッセージ載せてもらいました」と報告してくれた皆さん、本当にありがとうございます。


〈川久保病院女性外来の実際〉

診察日時:毎週火曜日 午後2時~5時
診察時間:新患1時間、再来30分
女性外来担当の医療事務担当者がカルテを用意・案内。
 担当看護師が問診(新患:30分、再来10分)後、医師が診察します。
医師は患者さんを番号でお呼びします。
 (プライバシー保護のため、名前は呼びません)
ハーブティー、アロマセラピーによるリラクゼーションにも取り組んでいます。
女性外来は完全予約制です。予約は下記にお願いいたします。
 川久保病院:019-635-1305





 〈うつが女性に多いのはなぜか?〉
 女性ホルモンの変動がストレスに対する抵抗力を弱めるからです。また、日本の女性は社会的立場が弱いためストレスを受けやすく、解消しにくいのです。

 〈ジェンダーとは?〉
 肉体的な性別に対し、社会的・文化的性別のこと。現状ではこれがさまざまな社会規範と結びつき「男は一家の大黒柱だ」とか「女は家事をきっちりこなして一人前だ」といった役割概念の元となっています。このようにそれぞれのジェンダーゆえに、周囲から期待されてしまう、これらの役割が「ジェンダーロールgender role」。これが固定的に厳格に適用されると息苦しく感じる人も多いのです。
 女性は他者との関係において、情動的なコミュニケーションや親密性を重視する傾向がある一方、男性は個人の自立や積極性を重視することは国際的に共通しているようです。対人関係のストレスが、より女性のうつに影響しているようです。
 特に結婚、妊娠、出産、育児といった生殖期間において、ジェンダー役割の変化が男性より女性に課せられます。結婚後の女性には、妻の役割、母の役割といった社会的な強要があり自尊感情が下がります。

〈「夫源病」って知っていますか?〉
 大阪で男性更年期外来を担当する医師が命名しました。妻の更年期障害の原因の大半は夫の何気ない言動であり、さらに厄介なのは夫がそれを自覚していないことが治療を妨げる原因。主人在宅症候群とも言う。定年後の夫が、妻がデパートやスーパーに行く際「ワシもつれていけ」ワシ族。子どもが独立して、きちっと昼食を作っていなかった妻が定年で超暇にしている夫にまともな昼食を作ってあげなければならない「昼食うつ」など。(過激ですが、これはあくまで男性医師が書いた文章であり、残念ながらここは講演会では大いに共感を得るところです。)
 最近、これらは払しょくされつつあると思いますし、男性側からも弁論・反論したいことと思います。女性の健康に関することなら大いに話し合わねばなりませんね。(この問題はいくら紙面をいただいても書ききれません!)
                         (内科医 加藤 幸)
次回は「現代女性が必要とする健康管理」です。

   女性外来は毎週火曜日午後2時からで、完全予約制です。
   予約は下記にお願いいたします。
   019-635-1305



   


   

 女性はもともと、一生の中に思春期・成熟期・更年期・老年期と、ホルモン(エストロゲン・プロゲステロンなど)のダイナミックな変化があります。また、月経ー排卵ー月経という毎月の月経周期によって、男性とは異なった心身の変化をしています(図1)。
 昔に比べると、私たちのライフスタイルは大きく変わりました。出産機会の減少によって、一生涯の生理回数が50回から450回に増えました。そのため、子宮内膜症・乳がん・メタボリックシンドロームの増加など、昔とは病気の質が変わってきているのです。寿命も大幅に伸び、閉経後、第2の人生からの健康管理が大事になってきています。
 女性ホルモン低下による症状です(図2)。
 この中の「自律神経失調症」とは? 女性ホルモンをコントロールしているのは、大脳の視床下部と下垂体。下垂体は、体内のホルモン量を察知して、卵巣が分泌するホルモン量を調節する指令を出しています。この下垂体を支配する視床下部には、自律神経をコントロールする部分があって、女性ホルモンの分泌リズムが変動し大きく変化すると、近所にある自律神経の調節も影響を受けてバランスが崩れるのです。女性が更年期前後に心身が不安定になるのは、このためなんですね。世の男性諸君! この時期の女性は特にいたわりましょう!
 次回は、女性と〝こころ〝についてです。

 (内科医  加藤 幸)



 はじめての方もそうでない方も、こんにちは!
 川久保病院で生活習慣病診療と女性外来を担当している内科医の加藤幸(かとうみゆき)と申します。
 先日、県下で2番目に大きい川久保病院糖尿病患者の会〝みつばち会"有志から医師生活20年を祝ってもらいました。気恥ずかしい感じがしましたが、同時に「私のこの20年はどうだったんだろう」と振り返ることができ、とても有意義でした。この場を借りて御礼申し上げます。
 
 さて、今回は「女性外来について」をテーマにとのことです。本題に入りましょう。まずは下の表をご覧ください。
 改めてこうして見ると、今年は川久保病院女性外来開設10年の節目でもあったわけですね。それにしても、我が盛岡医療生協は先見の明があるというか、実行力があるというか、すごいですね。そんなこんなの女性外来、広がりをみせるのかと思いきや、全然広がらず、もはや風前の灯状態です。「岩手県」「女性外来」で検索すると3件しかヒットしません… 
 次号では、その貴重な女性外来の中身に触れていきましょう。
                                                    (内科医  加藤 幸)

〈女性外来年譜〉
1957年 米国ジャーナリストが女性の健康を守る運動を開始したところから始まる
1975年 米国で「全国女性の健康ネットワーク」創設
1980年代 米国でウィメンズヘルスが広がる。その後、医師による女性特有の病態の研究開始、女性の健康オフィス創設
1995年 第4 回世界女性会議の後、日本でも女性政策が見直された
2001年 鹿児島大学医学部に日本初の女性専用外来が立ち上げられる。同年、堂本暁子千葉県知事の要請で県立病院に女性外来開設
2002年 盛岡医療生協の会議における組合員さんの一言「女性外来があったら良いな」で女性外来立ち上げが発案された
2003年 厚生労働省の動きにより、全国の国立大学・民間病院で女性外来開設が相次ぐ
2004年 川久保病院リニューアルとともに女性外来開設

女性外来は毎週火曜日午後2 時からで、完全予約制です。予約は下記にお願いいたします。
内科外来:019- 635- 1305