新型インフルエンザ以降、感染予防の意識が高まってきているのでしょうか。今年は3学期に入っても、インフルエンザもあまり流行していないようで、パラパラといった感じです。しかし、5月ころまで流行が続く場合がありますので、まだまだ気を緩めずにいきたいところです。

 ところで、皆さんは、もう済まされましたか?
 年長さん・中学校1年生・高校3年生の方は麻疹風疹(MR)ワクチン(2期・3期・4期)。小学校6年生はジフテリア・破傷風(DT)ワクチン。高校1年生の女の子は子宮頸がんワクチン。
 4月になってしまうと、接種自体は可能ですが市町村の補助がなくなりますので、お金がかかります。期限ぎりぎりですと、急な発熱などのため接種できなくなることもありますので、余裕をもった早めの接種をおすすめします。
 MRについては、3期と4期は今年度で終了です。年長で受けなくても中1、中1で受けなくても高3で受けられるということではありませんので、お間違いなく。接種券を確認し、なくされた場合には保健センターに問い合わせのうえ、再発行してもらってください。
 また、この時期は心理的な面、身体的な面ともに負担がかかり、心身における変動が大きいです。体調をくずし、卒業式など、人生の節目のイベントに臨めないことはつらいことです。しっかり体調を整えましょう。

 「さわやかさん」への連載も1年がたとうとしています。毎月、何を書けばいいのかと悩み、文才のなさをつくづく思い知らされた1年でした。1年間、お付き合いただき、ありがとうございました。
 もうすぐ4月。時節は一回りし、お題」は去年の4月号と同じ「新学期・新生活」にもどります。子育てはこうやって、今年も来年も、そのまた先までもずっと続きますが、果てしなく続く先の見えない階段ではなく、螺旋階段みたいなもののように思います。一回りすると、階下には1年前の姿があります。1年前にくらべれば、みんな確実に何かしらの成長はしています。1年また1年、ぐるぐる廻って大人になっていく子どもたちの成長を、大人の暖かい目をもって眺めていきましょう。
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 あらためて、この1年間のご愛読と激励を感謝いたします。ありがとうございました。
                                       
                                        (小児科医 蒔苗 剛 まかなえ つよし)





2月、旧暦のお正月。遅ればせながら、初春のお慶びを申し上げます。今年もよろしくお願いいたします。

 冬休みあけ、インフルエンザやロタ胃腸炎などの流行がまたはじまっています。
 夏休み・冬休みのような長期休暇の場合、どうしても日々の生活サイクルが乱れがちになります。学校に行かなくていいので朝もゆっくり、日中もテレビ、DVD、ゲーム三昧。戸外で走り回ることも少なくなり、体を動かさないため夜も眠くならず就寝時刻が遅くなり、結局、翌日もお寝坊さん。こんな悪循環に陥ったまま、学校がはじまれば、毎朝が辛くなります。何事もメリハリをつけて、生活リズムを整えることが重要です。
 ちなみに、夜更かしは、肥満や慢性の体調不良と密接に結びついています。夜に夕食を食べてから就寝までの時間が長くなれば、おのずと小腹が空いてきます。ちょっとのつもりで、お菓子や夜食をとってしまいます。お腹が落ち着くくらい食べたところで、眠くなってお休みなさいということになります。夜にいっぱい食べると太る、というのはご存知のとおりです。
 悪循環は続きます。夜更かしのせいで朝が遅くなると、食事摂取のサイクルがずれてきます。朝昼兼用の食事となり、夕食前にお腹が空いてもう1食。夕食はふつうに食べて、遅くに夜食。これで都合4食。しかも食べてすぐ就寝。悪循環はさらに続きます。そのサイクルのまま新学期をむかえると、朝が辛くなり、眠いまま登校。朝ごはんも食欲がないため食べられず、パワーもでません。学校では朝昼兼用の時刻に食事がとれず、給食までもちません。
 そういうことでは頭も働きません。当然、勉強にも大きな支障をきたします。やっと給食の時刻ですが、空腹なので食べすぎることもあるでしょう。一度に多く食べる習慣がつくと、いっぱい食べないと満腹感が得られず、ますます大食いになります。夕食もいっぱい食べる。1日の摂取カロリーが同じだとしても、これでは脂肪がどんどん蓄えられます。一日中家に閉じこもり、運動量が減ってくる。どんどん太る。
 このように、小さな生活習慣の乱れがからだや学習に大きな悪影響をもたらすことになりかねません。間もなく、春休み。期間は短いですがまずは夏休みの過ごし方を練習してみては。

                                                      (小児科医 蒔苗 剛)




◎乳児がいる家庭では全員がインフルエンザ予防接種を

めっきり寒くなってきました。皆さん、元気でお過ごしでしょうか。
 さて、今月から毎年恒例のインフルエンザの予防接種がはじまりました。川久保病院では11月5日から接種を開始しています。皆さんぜひとも接種してください。小児科医の視点からは、小さな子どもがいる家庭のお父さんはぜひ受けてほしいです。特に乳児がいる家庭では、必ず家族全員が受けてください。乳児は満6か月から接種可能ですが、免疫の力が未熟なため、2回の接種後に感染しても発症を完全に阻止できるほどのレベルには達しません。ウイルスにさらされれば、ほぼ間違いなく発症します。
 保育園に行っていない子どもは、普通に生活している分には、まず感染することはありませんが、家族に限らず誰かが家庭に持ち込めば必ず感染します。小さなわが子を守るため、お父さんは身代わりになって、注射を受けてください。その時には、いつも痛みに耐えて予防接種を受けている(実は無理やりされているのですが…)わが子が一層愛しく思えるかもしれませんよ。

◎来院時はマスク着用を

 毎年11月と12月は病院が混み合います。風邪や胃腸炎などの病気の流行の程度にもよりますが、要は予防接種のため来院した方と具合が悪くて来院した方が、同じ時間に同じ空間にいることになるためです。
 私たち病院としても可能な限りそれぞれ別の場所で待機していただくように誘導していますが、限られた空間では残念ながら完全に分離することは不可能です。患者さんに限らず、どなたでも来院する際には、ぜひマスクの着用をお願いします。

◎外出さけ、マスク着用、うがい・手洗いも

 咳などの症状がある方はほかの人にうつさないように、無症状の人は風邪をもらわないように。狭い空間では、マスク着用が最も効果的です。予防接種をより安全なものにするため、接種終了後、病院内での30分間の経過観察をしています。このため、ロビーなどが混雑すると予想されますので、マスク着用はぜひお願いします。
 マスク着用は病院だけのことではありません。ショッピングセンターなどは人が多く集まるため、病気の感染拡大の場です。風邪などの流行期には、不要不急の外出はできるだけ避けるのが感染防御の大原則です。外出の際にはマスクを常に携帯し、うがい・手洗いも励行し、極力感染しないよう心がけましょう。風邪はもらわなければ罹らない。心がけによって、風邪は物理的に(マスクの着用などで)防ぐことができるのです。
                                         
                                     (小児科医 蒔苗 剛まかなえつよし)







 ちょっと経験のない、暑い夏も過ぎ、「食欲の秋」到来。本来、秋の食欲は、来たるべき冬に備えて熱量を確保するための自然の摂理です。しかし、現代の生活様式では、そんなに蓄えをしなくても暖をとれるので、余分な蓄えは、即、肥満・贅肉という、うれしくないものになります。

◎肥満は病気ではありません。しかし…
 一方、「スポーツの秋」とも言われます。熱中症の心配もなくなり、思いっきり体を動かすことのできる季節でもあります。冬場は路面が凍結して危険で、散歩もままならなくなりますので、ぜひこちらの方の「秋」をお勧めします。
 盛岡市内の小中学校では、肥満度が30%を超える児童に対しては「肥満」とし、医療機関での受診を指示しています。ただ、実際に受診された子どもたちも、検査上の異常値もあまりなく、薬物療法が必要なほどの病気が見つかることはほとんどありません。つまり、「病気」ではありません。そのまま肥満が解消されず推移したとしても、子どものうちに「病気」になることは、まずありません。従来、「肥満」は、小児科が関わることではなかったのです。ではなぜ、ただ太っているだけの子どもが小児科へ行かなければならないのか? ということです。

◎肥満指導 大人になっての病気を減らすこと
 子育て世代・働き盛りの、若いうちに生活習慣病になった方は、肥満体であることが多いのは想像に難くないと思います。では、その方が子どものころはどうだったかというと、やはり肥満だった方が多いようです。子どもの肥満はそのまま大人の肥満につながってしまう危険が大きいことになります。小児科が子どもの肥満を指導する目的は、この医学的な危険を伝え、何十年後かの病気の大人を減らすことにあります。

◎親は子どもに正しい生活習慣を
 現在、肥満でないとしても、子どものころに身についた肥満につながる生活様式・食生活・運動習慣は、大人になってから正そうとしても、難しいものです。病気になってから苦痛をともない、生活上の制限を強いられながら、治さざるを得ないことになります。大人になってからでは遅いのです。子どもの生活習慣獲得には、親の関与が大きいのです。親の責任として、管理が及ぶ「小児」のうちに、正しい生活・食事・運動の重要性を家族みんなの共通認識とすることです。かわいい自分の子どもに、将来、かわいそうな思いをさせない、健康な中年生活を送れるよう導くのが親の本当の愛情です。
 さて、時は秋。ゲームは一休みして、家族みんなでわいわいとウォーキングにでもでかけませんか。
                                          (小児科医 蒔苗 剛)






 こんにちは、小児科の蒔苗です。今年の夏は例年以上に暑い日が続きましたが、皆さんはバテることなく乗り切ったでしょうか。小児科を受診される方は、いつもの夏と同じように少なかったので、元気に過ごされたのかと思っています。

◎手洗い・うがいで風邪予防
 9月に入ると、これまでの暑さとはうって変って朝晩はめっきり涼しく、ときには寒くすら感じられます。体が暑い状態に慣れてしまっているので、同じ気温でも冬の15度は暖かく感じますが、秋の15度は肌寒く感じるはずです。気温の急激な変化に対応しきれず、この時期から風邪をひく子供さんがだんだん増えてきます。幼稚園や小学校も始まっていますので、感染が拡大しやすい環境になっています。一日のうちでも寒暖差に合わせて服装を調節することや、手洗い・うがい・マスクの着用などの予防策を講じることが大事です。また、保育園・幼稚園の運動会や学校の文化祭・学習発表会・合唱大会など、多くの人たちが集まっての催し物も増えますので、感染防御のためなおさらの注意が必要です。

◎効果的戦略「先手を打つ」
 気管支ぜんそくの持病をお持ちの子供さんは、これからが一番発作を起こしやすい時期ですので、これも注意が必要です。風邪が引き金になったり、気温の急激な変化、雨や台風など天気・気圧の変化に敏感に反応したりで発作を起こし、救急受診されることが多くなります。
 小児ぜんそくの場合、発作を起こすもう一つの要因は、夏の間の“休薬”があげられます。夏の間、子どもはあまり風邪をひくこともなく、症状も落ち着いていることが多いので、ぜんそく発作で来院することはめったにありません。そのため薬がなくなっても、そのまま受診せず、寒くなったころ、発作で苦しくなってから来院することになります。夏の休薬自体は症状が出ずに暮らしている限りいいのですが、休薬した場合には、涼しくなったころを見はからい発作が起きる前に服薬を再開しなければなりません。同じことは花粉症にもいえます。毎年決まった時期に症状が出る場合、その時期が到来するちょっと前から服薬を始めれば、少しでも苦しい思いが減らせるかもしれません。
 何事においてもそうですが、「先手を打つ」というのが、病気の治療の面からみても、重要で効果的な戦略です。


*休薬:定期的にのむべき薬の服用を中断すること。
(小児科医 蒔苗 剛・まかなえ・つよし)







接種率を向上させ、感染経路を断とう
そのため 早期に定期接種(公費負担)化を



◎ワクチン接種はごく当たり前のこと
 6月号では、子どもが受けるべき予防接種の種類と接種回数が27回(女の子は30回)にのぼること、これには親の時間的、経済的負担が大きいことなどもお話しました。大きな負担があるにもかかわらず、なぜワクチン接種を受ける必要があるのでしょう。“VPD”という言葉を知っていますか? Vaccine Preventable Disease。「ワクチンで防ぐことができる病気」という意味です。ワクチンで防げる病気はワクチンで防ごう、というのが世界の流れです。
 以前は原因が分からなかった病気の正体が、ウイルスや細菌などの病原体の感染によって引き起こされることが突き止められ、それに対するワクチンが開発されてきました。ワクチンがあるのなら、その病気に罹る前にワクチンを受けて罹らないようにしましょう、という当たり前の考え方です。

◎予防接種推進は財政負担を軽減
 しかし残念なことに、世界的にみて日本はワクチン接種については後進国であると評価されています。ここ数年で、公費負担による接種可能なワクチンが増えていますが、インフルエンザ・おたふくかぜ・水痘・ロタなどは自費となるため、接種率が上がらないのが現状です。公費負担を求めても、行政側は「財源不足」を理由に阻止しています。しかし、予防接種を推進したほうが財政的負担は少なくてすむ、という試算があります。
 実際、髄膜炎や脳炎、がんになった場合、集中治療や手術が必要になりますし、後遺障害が生じた場合、その後莫大な医療費がかかります。また、子どもの病気で親が休めばその経済的損失も生じますので、ワクチン接種のほうが安いのだそうです。

◎社会的意義が大きい ワクチン接種
 このほかにもう一つ、ワクチン接種を推進すべき、社会的な意味があります。ある人が誰かから病原体を伝染されたとき、免疫がなければ発症します。そして、その発症した人は、他の人に伝染させる人になります。それがどんどん拡大していく、これが流行です。免疫をもっている人は発症しないので、伝染されても伝染させる人にはならず、伝染が途絶えます。多くの人が免疫をもっていれば、一人感染者がでても伝染経路が限られるため流行には至りません。これを繰り返していくと、いずれ病原体は行き場を失い、最終的には「撲滅」となります。撲滅には、より多くの人が免疫をもっている必要があり、接種率の向上が不可欠なのは、そのためです。実際、麻しんは2回接種に変更後、患者数は激減し、いまや麻しん感染は海外から持ち込まれたものだけになりました。
 子どもたちのなかには、医学的な理由でワクチンを受けられない場合があります。周りが罹らないことで、そのような子どもたちが守られる。これも、ワクチン接種の社会的意義です。

◎望まれる 早期の公費負担化
 現在、インフルエンザ・おたふくかぜ・水痘・ロタウイルスは、ワクチンとして承認されており接種は可能ですが、公費負担がないため接種率は低く、社会的流行を阻止できる状況にありません。流行阻止のためには、少なくとも接種率が9割を超える必要があります。個々人の観点からしても、経済的理由で接種を受けられない子どもだけが病気の危険にさらされ、親も仕事を休まざるを得ず経済状況が悪化する、という不平等は許されません。先に述べた、医療経済上の利点からも早期の定期接種(公費負担)化が望まれます。(小児科医 蒔苗 剛)






 だいぶ暑くなってきました。今年の夏は北日本は平年並みの気温との予想ですが、どうでしょうか。夏真っ盛り、今回は「子どもの暑さ対策」についてお話します。


◎屋内でも熱中症はおこる
 一昨年は「異常気象」と公式に宣言されるくらい、猛暑日が続きました。昨年は震災後の節電もあり、「熱中症」という言葉をよく耳にしたと思います。熱中症とは、高温や高湿度の環境にいることが原因でおきる病気のことです。「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」に分類されます。一時的なめまい程度のものから、高度脱水や体温の異常上昇で生死にかかわる状態のものまで含まれます。一般的にイメージされるのは、炎天下の部活動などですが、必ずしも屋外だけで発生するわけではなく、3分の1は屋内で発生していますので、注意が必要です。

◎大人より高い乳幼児の体感温度
 乳幼児は大人に比べて体温調節機能が未熟なので、要注意です。また、乳児は具合が悪くなってもそれを伝えられないですし、幼児は夢中になると水分もとらずに遊び続けますので、周囲の大人が気をつけないといけません。意外な落とし穴として、子どもの頭の高さでは大人が感じる温度よりかなり高いので、大人がそんなに暑いと感じないとしても要注意です。

◎短時間でも 車に放置は厳禁
 道路に長くとどまるのは危険ですし、ベビーカーもフードで直射日光をさえぎっていても危険です。子どもが眠っているから、短時間で戻るから、といって車において行くのはもっとも危険です。あっという間に車内は限界温度を超えます。子どもを車においたまま、突発的な事態(停電でエレベーターに閉じ込められるなど)に巻き込まれ戻ることができなくなったとき、即、子どもの命にかかわります。絶対にやめましょう。

◎高温多湿を避け、水分補給を
 熱中症の予防は、高温多湿の環境を避けることと水分補給を十分にすることにつきます。できるだけ暑い日中の活動を避けて、早朝や夕方にシフトする、風通しをよくする、などが必要です。電力不足が懸念され、節電が強く叫ばれていますが、適度な冷房や扇風機の使用は必要です。暑いときには汗をかき、汗が蒸発するときの気化熱で体温の異常上昇を防いでいますが、このとき体から大量の水分が失われます。適量の水分と塩分の補給がないと脱水が進行したり、ミネラルバランスが崩れてけいれんなどの症状が現れることがあります。

◎熱中症になったら まずは涼しい場所に
 熱中症と思われる症状が疑われるときは、まず涼しい場所に移動させ、水分をとらせてください。嘔吐して水をとれないときは病院へ連れていってください。扇風機やエアコンの風を直接あてたり、水風呂に入れたりすると、かえって汗をかくことができず、熱が閉じこめられてしまう危険があります。霧吹きのように水を吹きかけて、前に述べた気化熱を利用するのが効果的です。おでこを冷やすよりは、首、脇、腿の付け根の方が太い血管を冷やせるので効果的です。
 皆さん、元気に暑い夏を乗り切りましょう。(小児科医 蒔苗 剛)









 だいぶ暖かくなってきました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。小児科の外来もだいぶ落ち着いてきましたが、急に暑くなったり、朝晩は涼しかったりもしますので、体調管理には気をつけてください。さて、今回は「予防接種」についてお話します。


◎予防接種の種類
 小児の予防接種には、結核菌(BCG)、ポリオ、インフルエンザ菌(ヒブワクチン)、肺炎球菌、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)三種混合、MR(麻しん・風しん)二種混合、日本脳炎、子宮頸がん、おたふくかぜ、水痘、ロタウイルスのように沢山あります。
 その中には複数回の接種が必要なものもありますので、接種回数は27回(女の子は30回)になります。このほか毎年2回のインフルエンザを受けると、小学校卒業までに合計50回も予防接種を受けることになります。子どものガマンと親御さんの時間的・経済的負担のもと、子どもたちの健康が守られています。

◎ぜひ受けてほしい“ロタワクチン”   
〈結核菌(BCG)
 まだまだ稀な疾患ではなく、注意が必要です。
〈ポリオ〉
 感染により麻痺(まひ)を発症しますが、ワクチンの効果で、現在、国内での発症はなくなりました。
〈ヒブ、肺炎球菌〉
 どちらも細菌性髄膜炎の原因菌です。予防接種の解禁前は年800人もの乳幼児が罹患し、死亡したり重大な後遺症を生じる例が少なからずありました。
〈百日咳〉
 長引く咳が特徴で、そのため小児は低酸素脳症に陥る危険があります。大人での感染が増えており、親からの感染があります。
〈麻しん〉
 発症時に重症な肺炎などの危険もあるほか、数年がたってから脳炎を発症し死亡にいたることもあります。
〈風しん〉
 妊婦さんが感染すると、胎児にさまざまな奇形を起こすことが知られています。
〈日本脳炎〉
 蚊を介して感染します。以前は西日本の病気とされていましたが、今は北日本にもウイルスがいるそうです。感染しても発症は稀ですが、発症すると高い割合で後遺障害が生じます。
〈子宮頸がん〉
 原因の7割が2つの型であることが分かり、それらに対するワクチンがあります。セクシュアルデビュー(初交)前に受けるのが効果的です。残りの3割は防ぐことができないため、がん検診はしっかり受けましょう。
〈おたふくかぜ〉
 保育園や幼稚園での流行が年中みられます。中には髄膜炎を起こすことがあります。
〈水痘〉
 健康な子どもがかかっても重症化しませんが、抵抗力のない子がかかると大変で、毎年死亡例が報告されています。
〈ロタウイルス〉
 生後5か月までしか受けられないワクチンです。胃腸炎の原因として有名なウイルスで、特に乳児がかかると高度の脱水となり命にかかわります。時には脳症を起こし、インフルエンザよりも怖いものです。保育園、幼稚園ではもちろん、ショッピングセンターのカートやオムツ交換室での感染が多く、2歳までにほぼすべての子どもがかかります。注意することは、本人が自宅から出ることがなくても、上の兄弟がかかればほぼ感染しますし、より重症化します。昨年やっとワクチンが認可され、接種ができるようになりました。まだ公的助成はありませんが、ぜひ受けてほしいワクチンです。(小児科医 蒔苗 剛)

(7月号のテーマは「子どもを暑さから守る」の予定ですので、本稿の続きは8月号に掲載します。)




 

  現役子育て世代は「次の子育て世代」を助けよう
 親は普段から職場やじいじ、ばあばと仲良く



 先月号で、幼稚園、保育園への新入園児が、よく発熱するのは当たり前、発熱するたび経験値が上がり、社会を行きぬくためには必要なこと、とお話しました。今回は、子どもがそうなる前、そうなったとき、お母さんはどう対応すればいいのかをお話します。

 子どもによっては、一度熱をだすと数日つづく子もいますし、なかには肺炎などに進展し入院治療を余儀なくされる子もいます。保育園にあずけて仕事に復帰したものの、発熱するたび呼び出され、何日も休まなくてはならず、職場での立場や雰囲気が悪化してしまったお母さんたちに「どうしたらいいの」と泣かれてしまうことや、悩みなどもよく打ち明けられます。子どもの治療はできても親御さんの状況にはなすすべがない、そんな自分の無力さを実感します。また、祖父母は多くの場合孫の心配だけをしますから、(子どもの)母が仕事を優先し、子どもをちゃんとみないから何回も熱をだすんだ、と責められることもあるようです。

 子どもたちは社会で育てるものです。子育てが一段落した人たちは過去を振り返り、未婚の人たちはいずれこれから自分にも訪れることとして、現在、子育てをしている家庭を、皆で守っていくこと、これが理想だと思います。とはいえ、のど元過ぎればなんとやらで、「自分だって辛く大変だったけどがんばったわよ」という実績(?)をふりかざし、それが繰り返されるという悪循環が現実かもしれません。現在、子育て中の人たちには、自分が辛かったことを「次の世代」に同じように課するのではなく、自分がこうすれば救われただろうなということを、「次の世代」が自分は助けられたから「その次の世代」を助けよう、という好循環にもっていく、社会がそのような流れになればいいなと思っています。これは、現在、子育て中の世代が自らを犠牲にすることであるかもしれませんが。

 とはいえ、社会は急に変わらないでしょう。入園デビューを控えたお母さんたちには、「これからこの子は頻繁に熱をだします。残念ながらそれは避けられません。そのたびにお呼び出しがくると思いますので、そう思ってください。職場にも今のうちにそう伝え、理解を得られるようにしておいてください」とお話しています。「また、じいじ・ばあばにも顔見せに頻繁に連れていってね。急にあずけられても対応できないだろうから」ともお話しています。子どもの急な病気は誰にも予想がつきません。いざ、そのときのため、職場やじいじ・ばあばと普段から仲良くしておくことが一番の対応策かもしれませんね。





 

 会話し、子どもの変化に気を配ろう
 新入園児 熱をだすたび 経験値が向上



 新年度を迎え、連載「まか先生の“すくすく子育て講座”」を開始します。お子さんをお持ちの組合員さんが、子どもさんをもっと健やかに育てていくための知恵を伝授します。伝授するのは、川久保病院小児科医の蒔苗剛(まかなえ・つよし)先生です。



 皆さんこんにちは、川久保病院小児科の蒔苗です。今年度、小児科から時季ごとの話題などを連載することになりました。よろしくお願いします。今月と来月は、入園、入学などの環境変化に子どもと親はどう対応すればいいのかをお話します。

○子どもとの会話を通して、その変化に気を配る
 新しい環境というのは、子どもたちには大きな負担になっていることは確かです。入園児、新一年生はもちろん、クラス替えや担任の交代など、子どもにとって大きな環境変化の時期です。親としては、しばらく子どもとの会話を通して、その変化に気を配ってあげてください。

○しっかり食べて、しっかり寝て うがい・手洗いの励行
 4月、5月は身体的不調が原因で、小児科を受診される患者さんが増える時期です。暖かくなっているのにと思うかもしれませんが、真冬のがっちり寒い方が身体が寒さになれているので、意外と風邪は流行りません。インフルエンザなどの流行はあるものの、ほかのウイルス感染は落ち着きますし、喘息持ちの子どもたちもあまり発作を起こしません。
 季節の変わり目は寒暖差が大きいため、身体がその変化についていけず変調をきたしやすい状態になっています。変化に対応し、心の方でがんばっていますが、身体の方も負担が大きくなっていますので、要注意です。月並みですが、しっかり食べて、しっかり寝る。うがい・手洗い、天候、気温に応じた服装などに気をつけてください。

○熱をだすたび一つ経験値が上がる
 幼稚園・保育園の新入園児は必ずといっていいほど、熱をだします。これは、集団保育にデビューした子どもたちが必ず通る道です。特に一番目の子どもの場合なおさらです。この時期、小児科を受診される子どもの親御さんは「熱をだす子どもじゃなかったのに、何回も熱をだすんです。何か悪い病気ではないでしょうか」と心配される方が多いです。
 この時期、子どもの発熱はこれは当たり前のことです。要は、今まで感染にさらされたことがない「箱入り息子」「箱入り娘」が集団保育という社会にもまれて、今まで出あったことのないウイルスに出あい、風邪を繰り返すのです。むしろそれでいいと思います。1回熱をだすたびに、また一つ経験値が上がったと受けとめればいいのです。小学校に入って病欠が多くなり「学習欠落」に悩むより、幼児のうちにいっぱい風邪をひいて免疫をつけることは、子供たちにとっては社会を生きぬくため必要なことだとさえ言えます。
(以下、5月号に続きます)