この本は、10年ほど前、歌手のさだまさしが書いた物語です。ベーチェット病に冒された主人公が両目の視力を徐々に失っていく中で、家族・恋人・友人たちとのふれあいや、故郷長崎への思いなどを描いています。
 このタイトルはあまりピンときませんが、物語の中で次のように説明しています。
 修行僧が約90日の共同生活を送って行を積む期間の始まりの日のことを「結夏(けっか)」、行の明ける日のことを「解夏(げげ)」といい、「解夏」を迎えた修行僧たちは共同生活を終えて、一人ひとり旅立っていく。病気発症からの闘病期間をそのように例え、やがて「解夏」を迎える。そういうストーリーになっています。
 さだまさしの作品には、他にも「眉山」や「風に立つライオン」など、不思議なことに医療関係の話が多く、また歌同様あの風貌とは似つかないような甘く切ない物語も結構あるんですよね。この「解夏」もまた、まさにそのような部類のストーリーになっていて、ハッピーエンドとはいきませんが、読み終えた後に色々な意味で希望が残りました。
 時を経て、今一度読み返してみると、より一層、病に対する心構えみたいなものを感じさせられました。そんな一冊です。雨の日にでも…。

                          (川久保病院 放射線科 加藤一広)