書籍名:   「 母 」    

            三浦 綾子 著 / 角川書店


  「生命(いのち)を生み出す母親は 生命を育て 生命を守ることをのぞみます」の

スローガンで開催された日本母親大会in岩手が、たくさんの感動を残して終わりました。

母親はどんな時も生命こそが一番大切だと本能的に分かり、生きています。
 
 この本は戦前の治安維持法下で、共産党員だということで、密告により逮捕され数時間

後に虐殺された作家、小林多喜二の母・セキが自分の生涯を人に語るという形式で書かれ

ています。八十八歳のセキの生きてきた時代と生き方の物語です。
 
 貧農の小林家は秋田の大館から義兄を頼って小樽に移り住みます。6人の子ども(長男は

12歳で病死)に恵まれて、貧しいながらも明るく楽しい家庭です。セキはどんな時もどの

子どもも信頼し暮らしています。明治生まれのセキが大正・昭和と生きていく中で、多喜

二から女性の自立や人を差別しないことを学び身に付けて成長していきます。セキの生き

方から人は学びながら成長できると確信しました。セキはわが子を助けてやれなかったこ

とに神も仏もないと嘆き悲しみます。子どもに先立たれる親ほど不幸な人はいないのでは

ないでしょうか。
 
 いま憲法で民主主義や思想信条の自由が保障されて暮らせる事に、多喜二のような先人

の犠牲があったことを忘れてはならないと改めて思います。それなのに治安維持法の再来

のような「共謀罪」は認めるわけにはいきません。

セキが生きていたらどんなにか怒ることでしょう。歴史に学び、よりよい社会をつくるこ

とが、今を生きる私たちの責任だと「母」を読んで強く感じます。


                         (日比野 保子/山岸支部)