書籍名:


  「放射線を浴びたX年後」  
               
        伊東 秀朗 著 

     講談社
 

  昭和20年8月6日、9日、広島と長崎に原子爆弾が投下され17万人あまりが犠牲になり、街も廃墟と

化しました。私もそして多くの人々も、あの3.11の福島原発事故が起きるまで、これだけが原爆による

被害と思っていたのではないでしょうか。そうではありませんでした。
 
  1954年(昭和29年)3月1日、アメリカはマーシャル諸島のビキニ環礁で水爆実験をしました。近海を

航行中の多くの日本人が被爆し、被害を受けました。被害者やその家族に面談し、64年がたった今日

でも苦しんでいる様子などを、10年以上カメラで追い続け、実態を綴ったのがこの1冊です。

 この水爆は広島・長崎型の1000倍以上の殺傷力があり、当時 周辺海域には日本のマグロ漁船が

千隻以上、乗組員が2万人以上いたといわれています。アメリカは水爆実験にはまったく触れず、、6回

も実験を繰り返しました。当然ながら、乗組員はピカドンからキノコ雲、黒い雨や死の灰などを身体にた

っぷり浴びてしまいました。
 
 この本は、南海放送ディレクターの伊東秀朗さんや高知県の元高校教師の山下正寿さんなどが日本

各地に出向き、本人や家族に面会し、調査したもの。体験者の多くは早くに亡くなっていたため、遺族と

面談。中には「あれは終わったこと」と面会拒否されることも。しかし、調査は地道に続けられました。

 この本を読み終え、大きな憤りを感じます。このような重大な事件を隠し通してきた日本政府を許して

いいのでしょうか。 
 
「放射能を浴びたX年後」は映画化され、日本各地で上映され、大好評です。機会があれば、映画もぜ

ひ見ていただきたいです。
                                     佐藤 雄一 / 紫波支部