太平洋戦争末期の沖縄の戦闘を描いたものである。主人公の比嘉真一は、沖縄県立第一中学校の3年生で14歳である。その比嘉真一が、昭和20年3月末のアメリカ軍の沖縄上陸作戦開始とともに、鉄血勤皇隊が組織された。その勤皇隊に陸軍二等兵に編入され、負傷兵を南風原(みなみはえばる)に設けられた陸軍病院壕にはこぶ任務についた。そして、洞窟を転々として戦いを続けながら南に逃れ、遂にアメリカ軍に捕らえられるまでを描いたものである。著者は淡々と述べられてはいるものの、鉄の暴風と名づけられた沖縄戦の実相を彷彿とさせるものがある。
 その一部を紹介しよう。

 初めて知ったことであるが、ガリ版刷りの召集令状/アメリカ軍上陸後も発行され続けた「沖縄新報」/真一は、戦慄をおぼえた。海はすでに海ではなかった。それは、おびただしい艦船の充満する空間で、わずかな間隙に海水がのぞいているだけであった/軍司令部壕口で異様な光景を眼にした。荒縄で後ろ手に縛りつけられた者が4名。雨にうたれたまま土の上にころがされている。彼女たちは叫んでいた。その声には、ある種の宗教的な陶酔感に似たひびきがあった。「斬り込む」「アメリカ殺す」と。「女たちもそんな気持ちになっているのか」

 本土復帰した1972年に訪沖し、鉄血勤皇隊の壕に入ることができた。火災放射器で焼かれた壁は、黄色に変わっていた。
 今、沖縄は燃えている。
 戦争反対・平和の旗を掲げよう。 合掌
      
                         和田康逸/本町・上田支部